Structure and Control Lab., Structural Mechanics Reserach Group 
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 池田研研究内容

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新しい航空宇宙機構造システムに関する研究を行っている。特に、スマート複合材料・構造システムを対象とし、材料、構造物、および、それらに関係する熱、流体、制御が融合する系に生じる現象の観察、その現象を理解するための数学モデルの提案、モデルの検証、数学モデルによる現象の解析、現象の応用例の提案、その設計、製作、数値解析、実験による検証を行っている。 
 
 スマート材料・構造システム

 荷重を支え、形状を保持するだけでなく、センサー、アクチュエータとしても機能し、周りや内部の状況に応じて特性が変化するスマート材料やスマート材料を用いた構造システムの研究を行っている。

スマート材料のひとつである形状記憶合金(SMA)は形状記憶効果や超弾性といった特性を有する。それらの特性は、温度や応力に応じて合金の結晶構造が相変態することに起因する。相変態中、発・吸熱を伴うので、使用環境の温度やひずみ速度などによっても特性が変化する。SMAの特性を有効に利用するために、このような複雑な現象をできるだけ単純な形式で表し、かつ精度良く現象を予測できる構成方程式モデルが必要とされる。そこで、相変態の進展規則を仮定した「1次元相変態モデル」を提案した。このモデルを用いることで、ひずみ速度が変形に及ぼす影響や多軸応力下における応力-ひずみ-温度関係などを精度良く再現することができ、かつ、生ずる現象のメカニズムを明らかにすることができた。また、圧電セラミックスに代表される強誘電体に生じる現象とSMAに生じる現象との類似性を利用し、SMAに対して提案した「1次元相変態モデル」を強誘電体にも応用し、実験結果との比較によりモデルの有効性を実証した。現在、モデルの改良やスマート構造システムへの応用を行っている。

スマート構造システムとして、低空で飛行機の動翼を大きく変化させる場合に発生する流れのはく離を抑制するために翼面上に設置することがある小さな板状のVG(ボルテックスジェネレータ)にSMAを利用し、地上付近と巡航高度での気温差を利用することで、地上付近では通常のVGのようにはく離を抑制し、巡航高度ではVGが平らになり抗力を低減するよう、自律的に形状が変化するスマートボルテックスジェネレーター(SVG)などを提案している。また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)航空開発本部と、空力特性向上のため、滑らかに翼形状を変化させるモーフィング翼の開発に、JAXA宇宙科学研究所および国内の他大学と、圧電素子などの駆動素子により宇宙軌道上で形状を補正できる次世代の高精度スマート望遠鏡の開発に挑戦している。

 
 

 繊維強化プラスチック(FRP)は、繊維の配向角が数度変化するとその強度や剛性が大きく変化する。従って、FRP製構造要素の使用環境における応力場に最適な配向角となるように繊維配置ができれば、FRPの性能を最大限に利用できる。そこで、刺しゅう機を用いて、炭素繊維の織物材等に炭素繊維束を目的に対して最適な曲線に縫い付け、真空樹脂含浸成形法(VaRTM法)等で樹脂を繊維に含浸させ固めFRPを製作することにより、FRPの性能向上を目指している。静荷重が作用するFRP板やFRP板の振動数制御の問題に対して、繊維束の縫付け経路の最適化やFRPの製作などの一連の方法の確立を行うとともに、その有効性を実証した。現在、強化繊維とともに形状記憶合金などスマート材料も最適配置することにより、これまでにない軽量、高強度、高機能な材料を創出することを目指している。

また、高強度、低コストなFRP製品の製作プロセス開発を目指して、高温のガスやレーザーを用いた加熱により炭素繊維と熱可塑樹脂を任意の方向に配置しながら複合材構造を成形する技術を開発している。加熱温度、繊維と樹脂の押し付け圧、送り速度などの成形パラメータが、内部の状態や強度・剛性といった性能に及ぼす影響を調べている。

 
流体-構造連成問題、声の発生の解析 

柔らかいチューブ内を流体が流れ、チューブの内外圧力差によりチューブがつぶれると、つぶれた部分より下流で流れがチューブからはく離し、さらにその下流で流れが再付着する。チューブの変形と内部の流れは相互作用し、ある条件の下では、自励振動が発生する。この現象は、心臓外科手術において人工心肺に接続された大静脈にも発生し、このために赤血球の破壊が生じるのでしばしば問題となった。チューブの変形は飛び移り座屈を伴う3次元の非線形変形であり、内部の流れも、はく離、再付着、振動を伴う複雑な現象であるが、その現象を理解するため、基本現象を抽出し、それを断面が1次元的に変化する柔らかな流路と流れのはく離・再付着を考慮できる1次元流れのモデルで表すことを提案した。このモデルを用いて、チューブに接続する負荷の大きさがチューブの変形や振動に与える影響などを明らかにした。また、モデルの妥当性は、流れの可視化や圧力分布計測により検証した。ここで提案したモデルは、式自体が簡単な形式であるため、数値解析に用いるだけでなく、流れのはく離、再付着現象を考える際の基礎とすることができる。

 提案したモデルは声の発生に関する解析にも応用した。声は、喉頭内に左右一対ある声帯と呼ばれる柔らかいヒダの変形と、その隙間を通る流れとの連成振動により生じる圧力変動が、咽頭から口唇にかけての声道で共鳴し発生する。提案したモデルを用いた数値解析により、声道での共鳴や声道形状、左右の声帯の衝突やその非対称性が音声波形へ与える影響などを明らかにした。 

飛行ロボットコンテスト 
 学生が自主的に全日本学生室内飛行ロボットコンテストへ参加している。独創的な機体を製作してやるという気持ちが強い学生が多く、何度もユニークデザイン賞などを受賞している。
 
 
無尾翼機 (2007)   円環翼 (2008)
     
 マグヌス効果を利用した飛行機 (2008)   ベクタースラスト機 (2014) 
 
飛行ロボットコンテスト参加機体の一例